3大アライアンス(ワンワールド、スターアライアンス、スカイチーム)の加盟会社の上級会員を、1社で取得すると、同じアライアンスの他社でもラウンジが利用できたり、優先的に搭乗窓口が利用できたりと、とても利用価値が高いです。
例えばANAで上級会員待遇を受ける方法は2つ。
「ANAの上級会員ステータス(SFC会員等)になる」か、「スターアライアンス他社の上級会員ステータスを得る」という2つの方法があります。
全世界の航空会社では、上級会員になるアプローチ手段がいくつか存在します。今日はそのあたりをじっくり紹介しましょう。
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世界中の航空会社の上級会員の取得方法
多くの航空会社では上級会員を取得できる条件を明確な基準を設定し公表しています。
ただ、「どういった基準を採用するか」は、航空会社によって異なります。
主なものとしては、
①飛行機に搭乗した回数で貯める。
②飛行機に搭乗した距離に応じたポイントを貯める
③飛行機に搭乗するのにかかった費用の累計で貯める。
④提携クレジットカードを発行で取得or継続する。
⑤ステータスマッチで取得する。
などがあります。
このうち、日本の航空会社では、JALは①と②、④を採用しています。ANAは②と④を採用です。それでは、各基準やそれを採用している会社等について詳しく見てみましょう。
①飛行機の搭乗回数に応じてステータスが得られる。
これはとてもシンプルな仕組みで、単純に飛行機に何回搭乗したかでステータスが得られるというもの。
JALが採用しており、JAL便含むワンワールド便に50回搭乗するとサファイアステータス、120回搭乗でダイヤモンドステータスが得られます。
シンプルでわかりやすいため、以前は多くの航空会社で採用されていましたが、近距離=安価な運賃でたくさん搭乗する人は航空会社にとって必ずしも儲かる客ではありません。
そのため現在では、搭乗回数を採用する会社は少なくなっていると感じます。
実際、ANAは以前は搭乗回数制と距離制と併用して採用していましたが、2007年に廃止され、現状では距離制のみになっています。
これは、羽田-八丈島-大島-羽田という3区間を乗りまくって上級会員資格を取得する人が多数いたためとも言われています。
現状でもJALでは搭乗回数制は残っていますが、伊丹-但馬や福岡-宮崎、沖縄の離島路線などは、近距離でチケットも1万円以下と安いため、上級会員になるために搭乗回数を稼いでいる方々がいるようです。
②飛行機に搭乗した距離に応じたポイントを貯める
さすがに「30分で到着するフライト」も「3時間かかるフライト」も同じ1搭乗と数えるのがいいかということで、導入されているのが、こちらの距離制を元にしたポイント制で、多くの航空会社で一般的に採用されている基準です。
1年間のフライトポイントが一定以上になった場合に上級会員としてのステータスが与えられます。
ただし、単純に搭乗した距離ではなく、それに料金種別や座席クラス、そして行先等により変わってきます。
よく使われるのが沖縄路線。羽田〜那覇までは984マイルです。ただし上級会員を判定するためのフライトポイントはファーストクラスやプレミアムクラスの利用だと2860ポイントですが、格安チケットなどでは984ポイントしかたまりません。長い距離だけでなく、積算率の良い運賃で搭乗することもポイントになってくるのです。
ANAの場合、フライトポイントのことをプレミアムポイント(PP)といい、JALの場合は、フライオンポイント(FOP)と言います。どちらも基本的には計算方法は一緒で、50,000ポイントで上級会員組織に入会できるプラチナ・サファイアステータスが得られ、100,000ポイントでファーストクラスラウンジも利用できるようになるダイヤモンドステータスが得られます。
同じ飛行機に乗ってもフライトポイントが貯まりやすい高価なチケットだと、上級会員になりやすいんですよね。逆に格安チケットとか割引チケットばかりだと、せっかくたくさん乗っても全然ポイントがたまらない事態に陥ります。
③飛行機に搭乗するのにかかる費用の累計で取得する。
搭乗距離に応じてポイントが付与され、上級会員資格を得られるというのは一見合理的です。
安い運賃で普通に羽田ー伊丹を往復すると3万円ほどかかりますが、1000マイル程度しかたまりません。伊丹-羽田だけでプラチナステータスを得ようとすると150万円かかります。
成田-ニューヨークをファーストクラスで1往復すると、それだけで20,000PP超の獲得が可能です。ただし、価格は往復200万円以上です。プラチナステータスを取るためには500万円かかります。
しかし、距離が遠い沖縄をプレミアムクラスという座席・料金種別が高価な路線を使うと、往復で6,000ポイント弱貯まります。さらに、沖縄は夏季ハイシーズンは値段が高いのですが、冬季だと往復6万円ほど。プラチナステータスまで、約50万円で到達可能。
飛行機会社としては、「お金をたくさん落としてくれる人」を優遇したいのに、「長距離に安い運賃で乗る人」を優遇した矛盾なども生じているのです。
そのため、近年、ユナイテッド航空などでは、「航空券購入のためどれくらいの費用が掛かっているか」ということも判断基準に入れており、今後もこういった動きが増えてくると想像されます。
④提携クレジットカードの発行で取得・継続
クレジットカードの発行で取得とは航空会社と提携したクレジットカードに入会するだけで上級会員資格が得られるというものです。
そうなんですよ、スゴイのはデルタ航空。デルタ航空と提携するアメリカンエキスプレスカードが発行する「デルタ スカイマイル アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード」を発行するだけで、デルタ航空の上級会員資格である「ゴールドメダリオン」が与えられ、スカイチームのラウンジが利用できるようになるのです。年会費も28,080円と決して高くはありません。
ただ残念なのは、デルタ航空のアライアンス。デルタ航空が所属するのは「スカイチーム」。
残念ながらスカイチームは、日本の航空会社が所属していないため、デルタ特典では、日本の国内線搭乗時には、ラウンジの利用ができません。海外利用に特化すればよいのですが、ラウンジを利用したいだけならば「PPプライオリティパス」が10,800円で発行でき、PPプライオリティパスならば、航空会社問わず、ラウンジが利用できるため、正直、スカイチームの上級会員になるために、取得するのはあまりお勧めできません。
また、昨年夏頃、エールフランス航空のフライング・ブルー提携の三井住友VISAカードを発行すると、フライング・ブルーの上級会員資格が得られるというキャンペーンを行いました。ただ、こちらもアライアンスがスカイチームのエリートプラスということで盛り上がりは今ひとつでした。
やっぱり日本の航空会社で利用できないと魅力としては薄いんですよね。
クレジットカードの発行で継続する
日本の航空会社は、クレジットカードの発行だけで上級会員になれる仕組みはありません。しかし上級会員だけが申し込めるクレジットカードというのが存在します。
そう、プラチナステータス到達後に、このクレジットカードを発行するとJALの場合は「JGC」として、ANAの場合「SFC」会員として、クレジットカードを所有している間は生涯にわたり上級会員としてプラチナステータス相当の待遇を受けることができます。
最初の取得は飛行機に乗らなきゃいけないけど、一度でも上級会員の資格を得ると、その後は飛行機の乗らずとも資格を維持できるんですね。これは海外ではあまり例を見ないお得な制度です。
クレジットカードの発行で優遇を受ける
ANAでは、プラチナカードを発行すると、上級会員の優遇措置である「ANAラウンジ」の利用が可能となります。
ただし、国内線のみで、国際線は利用できません。また、上級会員資格自体は与えられませんので、優先搭乗や、優先保安検査なども受けられません。
ただ、プラチナカードの年会費が10万円近くとめちゃくちゃ高いんですよね。
なお、JALカードには、空港ラウンジが利用できるプレミアムなクレジットカードはありません。ただし、ANA、JALともにゴールドカード以上であればカードラウンジは利用することができます。
なお、そのほかの特典として、JALカードClubAやANAワイドゴールドカードは、国際線利用時のみですが、チェックインカウンターをビジネスクラス用のカウンターが利用できます。
ただし、これらの優遇は、あくまでもANAやJALが個別に行っているものなので、同じアライアンス等でもこれらのサービスは利用できません。
⑤ステータスマッチで取得する。
他社の上級会員資格をちらつかせながら「僕は飛行機によく乗るんだよ、よかったら君の所に乗り換えてもいいけど・・・」と言って、上級会員資格をおねだりする行為をステータスマッチと言います。
有名なのは「ユナイテッド航空」に、「デルタ航空」のゴールドステータスをちらつかせると、「とりあえず3か月だけステータスを上げるからそれでいっぱい乗ってくれたらホントのステータスを上げるよ」ということができるとのこと。
そう、デルタ航空は、前述したとおり、クレジットカードを作るだけでゴールドステータスがもらえます。
なので、ほぼ費用負担なしに、ユナイテッド航空のゴールドステータスが得られ、さらにユナイテッド航空はスターアライアンスのため、自動的にANAなど、スターアライアンスグループを利用する時も上級会員待遇が受けられるというものなんです。
ただし、たったの3カ月間ということと、それ以上ステータスを保持したい場合は、ユナイテッド航空に相当搭乗する必要があるということもあり、あまり実施している人はいません。
なお、過去には、エアベルリンという、ドイツのワンワールド系の航空会社でもステータスマッチをばらまいていたようですが、現在は、日本在住だとほぼ認められないということです。
まとめ
航空会社によって、上級ステータスの付与条件は様々ですが、クレジットカードの発行でゴールドステータスが得られる「デルタ航空」。そして、ステータスマッチで、たった3ヶ月間ですが、上級会員資格が得られる「ユナイテッド航空」を除いては、残念ながら飛行機にたくさん搭乗しない限り、上級会員資格を得ることは出来ません。
ただ、上級会員資格は得ることはもちろん、継続して所有し続けるということが難しい中で、日本の航空会社の1度でも上級会員になると、クレカを所持する限りは半永久的に上級会員を維持できるというのはやはり大きなメリットです。他国では、瞬間風速的に飛行機の搭乗が多い年はあっても、上級会員を維持するためには、継続して毎年一定以上飛行機に乗らなくてはならないからです。
そう考えると、クレジットカードを継続的に所持するだけで上級会員を維持できるJALのJGC会員や、ANAのSFC会員は、世界中で見ても、まれなユーザーによってはメリットが大きい制度です。
3か月間だけユナイテッド航空の上級会員になっても仕方がないので、結局はJALかANAかに落ち着いてしまうんですよね