飛行機搭乗の際「本日も、ワンワールドメンバー日本航空をご利用下さりありがとうございます。当機はカタール航空とのコードシェア便で・・・」という知らないとちょっとびっくりするアナウンスを聞くことがありますよね。
航空会社は、基本的に自国と相手国を結ぶ路線しか開設できません。JALで言うと「羽田-ニューヨーク」や「ロンドン-羽田」はJALの路線として開設できますが、日本以外の国を結ぶ、例えば「ニューヨーク-ロンドン」ではJALは路線を開設することが原則できません。
大韓航空が、「ソウル-成田」の機材でそのまま「成田-ハワイ」を運行したり、シンガポール航空が、「シンガポール-成田」で成田給油で「成田-ロサンゼルス」の路線を持っていたり、デルタ航空とかユナイテッド航空がいくつか運行していたりという例もありますが、これは直行便が飛ばせない距離で経由していた名残だったり、アメリカとの力関係だったりという、例外的なケース(以遠権)です。
基本的には、航空会社は自社だけでは自国と他国でしか運行できず路線網にも限界があります。
また海外に行くと、JALなのに現地航空会社のカウンターで発券した経験もあるかもしれません。
こうした路線網の拡充と、海外でのコスト低減のために、アライアンス(航空連合)という仕組が存在します。
JALが加盟するワンワールド、ANAが加盟するスターアライアンス、そしてデルタ航空や大韓航空が加盟するスカイチームの3つが代表的なアライアンス(航空連合)です。
同じアライアンスだと、「マイルを貯めたり利用したり」や、「上級会員資格での優遇」は、同等程度のサービスを受けることができます。
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アライアンスの意味と特徴
航空会社のラウンジが利用のは、自社の上級会員資格を持つ人が、自社の航空便に搭乗する際に、自社のラウンジを利用させるものです。
しかし、同じアライアンスだと事情が異なります。
「同じアライアンスの上級会員資格があれば、同じアライアンスの航空会社を利用する際に、同じアライアンスのラウンジを利用できる」のです。
例えば、「ANAの上級会員資格があれば、同じスターアライアンスのユナイテッド航空の利用でもANAラウンジやシンガポール航空ラウンジ利用」できます。
JALは成田空港にも羽田空港にもサクララウンジと呼ばれる上級会員用のラウンジを設置しています。サクララウンジはワンワールドメンバーのアメリカン航空の上級会員も利用することができます。逆にJALの上級会員(JGC)だと、ワンワールドメンバーの上級会員向けラウンジを利用することもできます。
羽田空港にはワンワールドグループのラウンジとして、JALサクララウンジの他に、キャセイパシフィック航空ラウンジがあります。
成田空港に至っては、サクララウウンジ(JAL)、アメリカン航空アドミラルズクラブ、キャセイパシフィック航空、カンタス航空と4つのラウンジがあります。JGC会員がJALで韓国に行くとときでも、キャセイパシフィック航空のラウンジを利用することもできるんです。キャセイも香港も全然関係ないのに。
ユーザーによっては、同じアライアンスであれば、自社便と同等のサービスを受けることができるメリットがあります。もちろん航空会社としては、同じアライアンスのラウンジを共同利用することで、いろんな空港にラウンジを設置する必要がなくなり、コストが大幅に削減できることもアライアンスのメリットです。
実際にハワイのホノルル空港では、JALは自社のラウンジを設置していますが、ANAは自社のラウンジを設置しておらず、ユナイテッド航空のラウンジを利用するように促しています。JALの方が評判がいいようですが、コスト的には圧倒的に削減できているはずです。
そんなわけで、アライアンスが充実しているほど、ユーザーにとっても航空会社にとってもメリットが大きいです。
そして世界の3大アライアンスは、特徴は異なるものの、どこも充実したグループのサービスを提供しています。
世界の3大アライアンス
JALが所属するワンワールドとANAが所属するスターアライアンス、そして国内では加盟会社がいないものの大韓航空やチャイナエアラインなど馴染みのある会社も多く所属するスカイチームが世界の3大アライアンス(航空会社連合)。
加盟社数としてはスターアライアンスが一番多い、と言っても単純に加盟社数が多いとしても、実際に自分が利用するかが大事ですよね。アフリカや東欧の航空会社ばかりでもメリットはありません。
そこで、日本との路線数や発着回数等、独自の基準で、地域ごとに主なエアラインがどのアライアンスに所属するかをまとめてみました。
ワンワールド | スターアライアンス | スカイチーム | |
---|---|---|---|
日本 | JAL | ANA | なし |
アメリカ | アメリカン航空 | ユナイテッド航空 | デルタ航空 |
カナダ | ー | エアカナダ | ー |
韓国 | ー | アシアナ | 大韓航空 |
中国 | キャセイパシフィック | 中国国際 | 中国東方 |
台湾 | ー | エバー航空 | チャイナエアライン |
東南アジア | マレーシア航空 | シンガポール航空 | ベトナム航空 |
東南アジア | ー | タイ国際航空 | ガルーダ・インドネシア |
オセアニア | カンタス航空 | ニュージーランド | ー |
北欧 | フィンランド | スカンジナビア | ー |
ヨーロッパ | ブリティッシュエアウェイズ | ルフトハンザ | エールフランス |
私自身が、自分で最近搭乗した航空会社をカウントしてみると、
ワンワールド:日本航空、カンタス航空
スターアライアンス:全日空、ユナイテッド航空、シンガポール航空
ということで僅差でスターアライアンスの搭乗機会が多い模様。
どこが抜きん出て使いやすいということもなく、正直なんとも言えないところですよね。これ見ると。
それではアライアンスごとの特徴を見てみましょう。
ワンワールドアライアンスとワンワールド特典は?
ワンワールドには日本航空、アメリカン航空、カンタス航空、キャセイパシフィック航空、ブリティッシュ・エアウェイズ、マレーシア航空などが所属。公式ページはこちら
JALが所属しており、日本でも知名度は高いのですが、実は3大アライアンスの中では加盟社等も一番少ないです。
しかし、キャセイパシフィック航空は、香港をハブ空港にして全世界に多くの飛行機を飛ばしているため、香港経由でアジアや中東へのフライトも多く、日本人には非常に使い勝手が良い航空会社です。
一方難点も、アメリカン航空は、スカイチームのデルタ航空やスターアライアンスのユナイテッド航空よりも、日本国内では便数も少なくて行き先もロスかダラスのようなビジネス用途がほとんどで、グアムとかハワイとかがなくプライベート旅行での魅力は少ない。キャセイパシフィック航空は経営がいま今一つで中国国際航空に買収されてスタアラに移籍するなど常に脱退の噂が耐えない。ブリティッシュエアウェイズは、イギリスのEU離脱などの影響も懸念され、マレーシア航空に至っては、墜落しまくりだ。そんなわけで現状では、ワンワールドは便利で使い勝手が良いものの将来的にはちょっと微妙なところがあるのが正直なところなのだ。
ワンワールド・エリート・ステータス
・エメラルド:JALダイヤモンドもしくはJGCプレミア資格
利用できる特典 Fクラスカウンターでのチェックイン、Fクラス・ビジネスクラス用ラウンジの利用
・サファイア:JALサファイアステータスと、JGC会員
ゲートでの優先搭乗、ビジネスクラス用ラウンジの利用
・ルビー特典:JALクリスタルステータス
ビジネスクラスカウンターでのチェックイン、優先空席待ち、事前優先座席予約
スターアライアンスとエリートステータス特典は
スターアライアンスは、世界最大のアライアンスで、日本ではANAが所属しています。ユナイテッド航空やルフトハンザ航空などの大手に加え、タイ国際航空や、シンガポール航空、アシアナ航空などアジア圏の航空会社が多く所属しているのがメリットです。公式ページはこちら
ユナイテッド航空は日本からの以遠権もあり、グアムやアジアにも路線を持っており、利用価値は高い。ルフトハンザ航空も安定のドイツ企業なので、将来性もバッチリだ。今一番安心できるグループといえるだろう。
さらにタイ国際航空や、シンガポール航空は、日本にも多く就航しており、利用機会も多いかもしれません。
スターアライアンスのステータスは、ワンワールドの3種類と異なり2種類。
・ゴールド:ANAダイヤモンド、ANAプラチナ、SFC(スーパーフライヤーズ)
ビジネスクラスラウンジの利用、ビジネスカウンターでのチェックイン
・シルバー:ANAブロンズ
ビジネスクラスカウンターでのチェックイン、優先空席待ち、座席指定優遇
の2段階です。
スカイチームのアライアンスの特徴と特典は
スカイチームは、大韓航空や、チャイナエアライン、デルタ航空などが所属するアライアンス。公式ページはこちら
日本の航空会社には加盟会社がいないため、日本ではマイナーだが、実際には日本路線もそれなりに開設されている。ただチャイナエアラインとか大韓航空とかって微妙に格安航空券的なイメージが強すぎて、そのせいでスカイチーム自体が格安航空券チームっぽい雰囲気がしないでもない。
スカイチーム・エリート・プラス特典:ビジネスクラスラウンジ、カウンターの利用
スカイチーム・エリート特典:優先チェックイン、優先登場、座席指定優遇など
の2段階です。
なお、スカイチームの一番の特徴はエリートステータスを得るのが超簡単なこと。デルタ航空提携のアメリカンエキスプレスのクレジットカードを作るだけです。またエールフランスのフライング・ブルーと提携して三井住友VISAカードが発行するクレジットカードのキャンペーンでも期間限定で、スカイチームのエリートプラスステイタスが与えられるキャンペーンが行われていましたが、今現在は終了しているようです。
ただ、国内線で利用できる航空会社がないため、正直あまり使い勝手は良くないです。
スカイチームが強い中国などに赴任している人には便利なようです。
3大アライアンスを比較する
JALが所属するワンワールドと、ANAが所属するスターアライアンスはどちらも路線は充実しており遜色ありません。
上級会員としてのメリットもほぼ一緒。唯一異なるのは最上級会員資格の有無。ワンワールドは、スターアライアンス等と異なり3ランク制。
ワンワールド | スターアライアンス | スカイチーム | メリット | |
---|---|---|---|---|
最上級 | エメラルド | なし | なし | Fクラス相当 |
上級 | サファイヤ | ゴールド | エリート+ | ビジネス相当 |
初級 | ルビー | シルバー | エリート | 手続き優遇 |
異なるのは最上位会員の区分です。ワンワールドは、最上位にエメラルドステータスがあり、JALのダイヤモンド会員は、ワンワールドエメラルドステータスが与えられ、サファイヤ会員とは明確に区別されています。
具体的には、サファイアステータスはビジネスクラスラウンジの利用ですが、エメラルドステータス(JMBダイヤ会員)は、海外でもファーストクラスラウンジが利用できます。
これに対して、スターアライアンスでは、ファーストクラスが利用できる最上位資格はありません。折角ANAの最上位資格であるダイヤモンド会員になっても、海外ラウンジを利用する際には、ANAプラチナステータスで得られる「スターアライアンスゴールドステータス」が付与され、ビジネスクラス相当のラウンジしか利用できないのです。
(なお、ANA便利用時は、ANAステータスが優先されるため、ファーストクラスラウンジの利用は可能)
その他の提携航空会社とは?
世界中の航空会社が、3大アライアンスに加盟しているわけではありません。たとえば中東のエティハド航空などは、アライアンスに加盟していません。しかしANAは同じアライアンスではありませんが、エティハド航空と個別に提携しており、ANAのマイルを利用した特典航空券の発行などが可能です。
また、JALも大韓航空とはアライアンス(大韓航空はスカイチーム)が異なりますが、個別に提携しており、JALマイルで大韓航空のチケットを取ることが可能です。
まあ、普通だったらJALのチケットを取りますので、あまり意味があるかはあれなんですが。
ただ、これらの提携はあくまでも個別であり、たとえばベトナム航空は、長年JALと提携していましたが、2016年に提携を解消し、ANAとの提携を新たに始めました。
アライアンスとは別の枠で提携をしたりという動きが今後も活発になりそうです。
まとめ
JALが所属するワンワールド、ANAが所属するスターアライアンス、そして日本の航空会社は加盟しないものの大韓航空やデルタ航空などが所属しているスカイチーム。
3大航空連合ならば、どこが抜きんでてすぐれているということはありません。若干スターアライアンスが元気で、ワンワールドは調子がいまいち、スカイチームはちょっと安めの航空会社が多いかな?という印象程度の違いです。
ただ、JALやANAの上級会員が、他社エアラインを利用するときに同じアライアンスなら上級会員待遇や、マイルが貯まったりとメリットは多くあります。
もし「香港出張が多くてキャセイパシフィックによく乗る」とか「シンガポール航空が大好き」などがあったら、アライアンスを意識してもよいかもしれませんね。
ただ、同アライアンスではマイルが貯まるとは言え、積算率は自社便を利用するよりも低いことがほとんど。他にもシンガポール航空は、自社の上級会員を、スターアライアンスエリート会員よりも明確に優遇し、スターアライアンスエリート会員では、入室できるラウンジを制限したり、座席指定の範囲が狭かったりと差別化をしています。
あくまでもアライアンスは連合・連携であって、全く自社と同様のサービスではなく、必要最小限の優遇サービスですので、JALやANAを自社で利用するレベルのサービス水準は期待できないことにも注意が必要ですね。