一般的なユーザーは、あまり意識せずに、「会社でJALのチケットを取った」とか、「出発時間が都合がよかった」程度の利用で、利用会社を決めるますよね。「帰省先がANAしか就航していない」という場合もあるだろうし、「税金で再生されたJALなんて絶対乗らんわ!」という人もいるかもしれません。
ただ、多くのユーザーは、何となくJALが多くてマイルが貯まっているのでJALに乗る、とかANAカードでマイルをためているので、ANAに乗る、程度の漫然とした利用が多いと思います。
まぁどちらがいいかと言っても、普通に利用するだけなら正直JALでもANAでも関係ないです。安全性だって、JAL123便で520名の死者を出す事故(JAL123便墜落事故)や羽田沖逆噴射事件もあれば、ANAだって事故を起こしています。
しかし、ANAの上級会員(SFC)になり、一度、上級会員として特別な待遇を受けると、ANA以外には乗りたくなくなる、もちろん、JALの上級会員(JGC)になっても同じ。
一度上級会員になり、待ち時間がほぼない手続きカウンターを体験し、ラウンジを利用すると、もう2度と一般会員としての待遇で飛行機に搭乗することができなくなってしまう。贅沢病と言えば贅沢病だが、それくらい上級会員の魅力はスゴイのです。
逆に、航空会社は、一度手に入れた顧客を逃がさないための手段として、この上級会員制度を作っているので、当然と言えば当然です。
普通に搭乗するだけなら、いつでも乗り換えられるしますが、上級会員を取り直すというのは大変なことです。上級会員を目指すならばまず、上級会員修行やマイルを貯めるにあたって、JALとANAどちらの方がメリットが大きいかというのを真剣に考えなくてはいけなくなるのです。
JALとANAを徹底比較するための検討視点
JALやANAの違いは何でしょう。色くらい?JALは一度潰れたし・・・・などどこを比べればよいか迷いますよね。そこでまず比較にあたって検討すべき視点を考えます。
交通手段として飛行機に搭乗するという視点
アライアンス(提携航空会社)という視点
マイルを貯めやすさという視点
マイルを使いやすさという視点
上級会員修行をするという視点
このあたりの視点からJALとANAを比較してどっちがいいのかを見てみましょう。
すると結局、最終的にJALのJGC会員もしくは、ANAのSFC会員のどちらかを目指すかというのは非常にシンプルです。
その答えは最後に明かすとして、まずは、それぞれの視点で順番に見てみましょう。
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交通手段として飛行機に搭乗するという視点
JALとANA、どちらも物凄い数の路線を持っています。そして国内はもとより、国際線でも多くの国にフライトを飛ばしています。
羽田から札幌出張や福岡出張に行く際には、JAL・ANAともにほぼ等間隔でフライトがあり、まるで電車並みのダイヤ。
しかし若干フライトに両社の差異がみられます。それは
(1)就航都市(国内)
(2)就航都市(海外)
(3)就航機材
の3つです。
(1)就航都市(国内)
多くの主要都市においてJALとANAではフライト本数等に大きな違いはない。しかしいくつかの都市においては「JALのみ」「ANAのみ」にしか路線がない空港があるんです。
主要なところで言えば、JALのみの運行は三沢、いわて花巻、南紀白浜、出雲、種子島、奄美大島、久米島など。
逆にANAのみの運行は、米子きたろう空港、、鳥取砂丘コナン、福島空港、八丈島空港など。
山形県内でJALだけが山形空港、ANAだけが庄内空港だったり、JALが出雲空港に飛ばして、ANAが萩・石見空港に飛ばすなど、上手にすみ分けています。
沖縄の離島路線はJALと沖縄県で作った第三セクターRAC(琉球エアコミューター)の存在によりJALの独壇場だったりと、若干、JALが南方に強い、ANAは各地方まんべんなく飛ばしているなどの傾向はあるが、それくらい。
もしあなたが帰省などで決まった空港を利用する場合は、JALとANAのどちらをメインにするかはとてもシンプル。国際線と違い、国内線では雇用や地元との関係もあり、JALもANAもそう簡単に路線の廃止は行われない。逆に撤退が困難だからこそ、よほどの需要が見込まれないと、新規に地方路線は開設することはありません。
現在、定期的に利用する路線があるならば、絶対に就航している航空会社を選ぶべきだ。
しかし、何となく「旅行で沖縄方面が多いかな?」くらいであれば、国内においては就航都市にそこまでこだわる必然性ありません。
(2)就航都市(海外)
国内線同様、ロンドンや香港、ベトナム、ニューヨークやハワイなど世界の主要都市においては、JALもANAもほとんど差異はありません。
しかし、ロシアやヘルシンキ、そしてグアムはJALにしか路線がありません。逆にメキシコやミュンヘンなどは、ANAにしか路線がないのです。
ついでにハワイ路線で言うと、ANAは羽田-ハワイと成田-ハワイがあるが、JALは成田-ハワイのみで羽田からのハワイ路線がないのです。(一時あったが休止してしまった。)
しかし、国際線では「コードシェア便」や「乗継」というシステムがあるのが国内とは違うところ。
たとえば成田-グアム路線は、JALにしかありませんが、ANAが所属するスターアライアンスの「ユナイテッド航空」を利用すると、ANAのマイルや上級会員としての特典を享受できます。
このように、ヘルシンキやモスクワ、メキシコシティーなどJALかANAかどちらかしか運航していない路線についても、同じアライアンスの航空会社を利用したり、乗り継ぎを行うことで、JALやANAの上級会員資格を活かして利用することが可能です。
もちろん「ロシア出張が多いからモスクワ路線があるJALの上級会員になる」という選択枝もあります。
しかし国内線と違って、海外路線は経済情勢やテロ等によって需要が大きく変動するため、休止や廃止になる可能性も国内線よりも高いことには注意が必要。
(3)就航機材
JALもANAも就航機材は「ボーイング」「エアバス」「ボンバルディア」などを利用しており大差はないです。若干ANAの方がエアバス機やB787の最新機を国内線に導入していたりするが、よほどの飛行機マニアでなければ、無視しても良い違いです。
ANAがポケモンジェットやスターウォージェットを飛ばせば、JALはドラえもんジェットを飛ばす、その程度。
異なることとして、国内線でJALは3クラス制度をひいている。ファーストクラス、クラスJ、普通席です。
ANAは2クラス制度、プレミアムクラスと普通席だ。
ただし、JALは3クラス制を引いているのは、羽田-那覇・福岡・伊丹・札幌のみ。
これらの路線のみ一部の便でファーストクラスを設定しており、それ以外のほぼ全路線はクラスJと普通席の2クラス制だ。
JALのファーストクラスとANAのプレミアムクラスでは、国内線にもかかわらず食事やアルコールが提供される。
逆に言うと、JALの場合羽田-那覇・福岡・伊丹・札幌の4路線以外では機内で食事やアルコールを楽しむことができない。
ホントにファーストクラス設定はこの4路線しかなくて、羽田-石垣島のように、那覇よりも遠い便でも設定されていない。
しかも、設定便数が少ないこともあり、JALのファーストクラスの予約争いは熾烈を極めます。
ANAならば、羽田-石垣島はもちろん、大阪-那覇や、大阪-札幌、羽田-松山などの地方路線でもプレミアムクラスが設定されており、食事やアルコール、快適な座席が提供されます。
羽田から地方路線の利用が多い場合や、大阪や名古屋ベースで、国内線利用時はプレミアムクラス志向ならば、ANAの方がプレミアムクラス設定の本数も取りやすさも容易なので、おすすめだ。
アライアンス(提携航空会社)という視点
世界の航空会社の多くはは、3大アライアンス(ワンワールド、スターアライアンス、スカイチーム)に所属しています。
そして、所属する航空会社、1社でも上級会員になると、アライアンスに加盟しているすべての航空会社の便に搭乗する際に、上級会員としての待遇を受けることができるのです。頻繁に搭乗する海外の航空会社が属しているアライアンスの上級会員になれば、同アライアンスの搭乗時にも上級会員扱いで搭乗できるのです。
例えば、JALの上級会員(JGC)になると、JAL便利用時はもちろん、キャセイパシフィック航空やブリティッシュエアウェイズなど、、ワンワールドアライアンスに加盟する航空会社の便を利用する際にも、上級会員として、手荷物の優遇やラウンジの利用、優先搭乗手続きなどの上級会員待遇が受けることができます。
JALが所属するワンワールドの場合、アメリカン航空、キャセイパシフィック航空、ブリティッシュエアウェイズ、カンタス航空などが代表的。加入するマレーシア航空が墜落したり、キャセイパシフィックが経営危機期だったりするのはちょっと心配なところです。
ANAが所属するスターアライアンスだと、ユナイテッド航空や、シンガポールエアライン、タイ国際航空や、エバー航空などが利用しやすいです。日本発着便も多く、とにかく全世界にネットワークが広がっている安心感があり、とても勢いのあるアライアンスです。
なお、「デルタ航空」や「大韓航空」「チャイナエアライン」など日本格安航空券でよく聞く航空会社は、3大アライアンスのうち、日本に加盟会社がない「スカイチーム」に属しています。
スカイチームの上級会員になっても日本の国内便では残念ながら上級会員待遇を受けることは出来ません。
海外でよく利用する航空会社で上級会員待遇を受けたい場合には、所属するアライアンスを参考にしてもよいかもしれません。
マイルを「貯める」という視点
JGCやSFCのメリットをフル活用する際に、有用なのが「マイル」を貯めて使うということ。
そして、上級会員になると、マイルで特典航空券が取りやすくなったり、マイルが貯まりやすくなったりとメリットがいっぱいです。
そして、「マイルを貯める」という視点でお勧めなのがANAです。
マイルを貯める方法として、
(1)フライトで貯める
(2)クレジットカードで貯める
の2つです。
順番に見てみましょう。
(1)フライトで貯める
フライトで貯まるマイルの算出方法は、JAL、ANAともに基本的には同じです。ただ、異なるのがキャンペーン。
JALは事前登録制で、ボーナスマイルをプレゼントするキャンペーンを頻繁に実施しています。
特定の路線だったり、期間だったりですが、対象運賃で搭乗するとマイルやeJALポイントがもらえることが多々あります。
ANAは、フライトと連携したキャンペーンは殆どやっていません。そこが大きく違うところなんですよね。
有償でのフライトが多い方だと、JALの方が貯まりやすいかもしれません。
(2)クレジットカードで貯める
クレジットカードはマイルを貯める大きなチャンスです。
ただ、ここでもJALとANAで違いがあります。
まず、JALには、初回搭乗ボーナスマイルがあり、JALカードを持ったユーザーが有償でフライトすると、5000マイルが付与されます。(ただし複数枚のカードを持っていてももらえるのは1回だけ)
ただ、ANAカードの場合は、もっとありがたいことに、ANAカードはクレジットカードを所有し、継続して年会費を払うだけで1000~5000マイルがもらえます。しかも複数のクレジットカードを所有していれば、その枚数もらえます。全部合わせるとカードを持っているだけで、数千~数万マイルもらうことも可能です。
JALカードユーザーは、持っているだけではもらえません。毎年1度は飛行機に乗る必要があるのです。さらにその搭乗は特典航空券では対象外、有償で飛行機に乗る必要があるのです、そういった点では、クレジットカードではANAの方が貯まりやすいと言えるでしょう。
実は難しいマイルの使い方。使いやすいのはJALとANAのどっち?
ANAはマイルが貯まりやすいと言っても、結局マイルは使わなければ意味がない。ところが、マイルを使うというのが以外と難しいのだ。結論から言うと、マイルを使うという観点では、JALの方が優位性が高いです。しかしANAもスカイコイン決して悪くはない。
それでは、使い方別に検討してみよう。
(1)特典航空券として使う。
マイルの使い方として一番に浮かぶのが特典航空券として使うということ。だけど特典航空券は結構熾烈な争いで希望日にとれないことも結構あります。
競争率としてはANAの方が厳しいという印象です。
JALの方が比較的利用しやすい印象で、私も「真夏にハワイに行く」特典航空券もとれたし、連休にくっつけたアジア旅行も取れています。ちなみにJALは一般会員もJGC会員も特典枠は一緒です。一般会員でとりやすい分JGC会員になっても取りやすさは一緒。
ANAは、一般会員ではなかなか特典航空券が取れませんが、SFC会員になると取りやすくなります。
(2)eJALポイントやスカイコインに移行する。
そうはいっても、正直、ANAでもJALでも特典航空券を取るのは至難の業。特に人気の観光地や夏休みシーズンなどは運がなければかなり困難。そんな時は、マイルをeJALポイント(JAL)や、スカイコイン(ANA)に交換することで、JALやANAで利用できるポイントに移行することができます。
このポイントは、マイルとは違い1ポイント=1円相当として利用できますが、このポイントで購入したチケットは、特典航空券ではなく、有償航空チケット扱いとなり、マイルやポイントが貯まります。
したがって、マイルをeJALポイントやスカイコインに移行して、ポイントやコインで、航空券を有償購入して修行するという方法も存在します。
もちろん修行以外にも、ANAやJALの航空チケットやパックツアーの料金に充当することが可能です。
ハワイなどは、特典航空券は熾烈な予約争いですが、案外スカイコインにして購入すると、それほど遜色なくチケットを購入することも可能です。
なお、eJALポイントは、1マイル=1.5eJALポイントに、スカイコインは、1マイル=1.5~1.7スカイコインに移行することが可能です。(最大)
クレジットカードを作るなどの条件はありますが、ANAのスカイコインの方が移行レートは良好です。
(3)どこかにマイルを利用する。
マイルは一生懸命貯めたとしても、ある程度貯まらなければ航空券に替えることは出来ません。そして家族3人などとなると、一気にハードルが上がってしまいます。
そんなときのために、JALのみで行われているのが、「どこかにマイル」というロシアンルーレット。
どこかにマイルは、6000マイルで往復可能。そして行先は「提示される4か所のうちどこか」としかわかりません。(公式ページ)
また、提示される4か所は自分の好みの候補地が出るまで再選択可能。でも、結局でないことも。
また、せっかく出たとしても、4か所のうち、どこに行くかはわからないため、「那覇」「石垣」「宮古島」「大阪」が出て、わくわくドキドキしてたのに結果「大阪」という可能性もあります。
ただ、たった6000マイルで往復できるというのは、とても魅力的。
JALだけですが、マイルの使い方としてはとってもお得な方法です!
まとめ
さて、結局上級会員を目指す時、JALとANAどちらが良いでしょうか?実はとてもシンプル。
基本的には「ANA」が間違いありません!マイルがためやすく、プレミアムクラス設定も多いから!
しかし、いくつかの条件をクリアした人は、JALも選択肢に入ります。
それではJALを選択肢に入れてもよい条件です。
Q1 JALでしか飛んでいない空港を頻繁に利用する→YESならJAL
これは当然。帰省時は空港も混雑していて一番上級会員の恩恵を受けれる時。規制がJALならばJALの上級会員を目指しましょう!
Q2 一緒に旅行に行く子供が3人以上いる。→NOならANA
ラウンジを利用する際には、上級会員+1名は無料で利用できます。4人家族なら、夫婦二人+子供2人は無料で利用可能。
さらにJALの場合、海外発のラウンジを利用する時には、追加料金(マイル)を支払うことで同行者を増やすことができますが、ANAの場合海外ラウンジでは同行者は増やせません。ということで、子供が3人以上いる場合は、JALの方が、同行者への融通が利きやすいです。
Q3 仕事等で、有償で年に1度以上は確実に飛行機に乗る→NOならANA
飛行機に乗った時のフライトマイルはJALの方が頻繁にキャンペーンを行っており、貯まりやすいです。また、JALの場合は、ボーナスマイルを「初回搭乗ボーナス」として、飛行機に有償搭乗しなければもらえません。
ANAは、ボーナスマイルはクレジットカードの年会費を支払えばもらえます。
逆に言うと、毎年飛行機には全く乗らない陸マイラーは、JALよりもANAの方がマイルが貯まりやすくておすすめです。
Q4 最寄りの空港が羽田空港である→NOならANA
JALの最上級シートである「ファーストクラス」は、羽田-那覇・福岡・大阪・札幌といずれも羽田路線に限定されて就航しています。また、便数も少なく予約も困難です。
そのため、羽田を最寄空港としている人以外は、JALのファーストクラスの利用が難しいです。最寄空港が羽田空港でならJALでよいですが、それ以外の空港利用者はANAの上級会員の方が、修行とその後の利用に関しては利用しやすいでしょう。
SFCやJGCを目指すなら必携のSPGアメックス
SFCかJGCどっちにするか迷う人も多いでしょう。そんな人におすすめなのがSPGアメックスカード。このカード所有するだけで世界最大手ホテルチェーンのゴールド会員になることができ、部屋のアップグレードやアーリーチェックインなどのがサービスが優先的に受けられるスグレモノ。
さらにANAマイルやJALマイルにも1.25マイル/100円利用と、ANAカードやJALカードよりも高レートで移行可能。しかも実質有効期限がないので、これからマイルを貯め始める人にはベストなカードだと断言できます。実際私も数年来メインの決済用カードとして利用しています。今夏に制度改正がありましたが、まだまだお得度は十分です。詳しくはこちらの記事を御覧ください。
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