2019年7月8日、JALの上級会員資格のJGC所持者に激震が走りました。
JGCの自動更新基準を引き上げるというもの。ただし、これは海外地区会員での話。
(今のところ)日本地区会員の制度変更はアナウンスされていません。
海外地区会員の条件引き上げの理由は?日本地区の会員は?今回の改悪の裏側に迫ります。
海外地区会員のJGC自動更新基準引き上げ
JALは、JGCの2021年度の会員資格について、自動更新の基準を「2020年1月から12月までの間に、FLY ONポイントを35,000ポイント以上もしくはJAL国際線にマイル積算対象運賃で14回以上搭乗した場合」のみ自動更新すると発表しました。そしてそのニュースを見たJGC会員に激震が走りました。
この記事、実はミスリード。現在記載してある「JGCの海外地区会員の自動更新基準を」というところが当初は、「JGCの自動更新基準を」という記載に。現在は修正してありますが、そのおかげで、JGC改悪!というニュースが流れてしまいました。
実は、これは修正された記事にもあるように海外地区会員に限定しての話です。
JALの上級会員組織であるJGC会員は、日本地区と海外地区で規約が異なります。(公式)
ただし入会資格は、日本地区・海外地区ともに一緒です。(5万FOPもしくは50回以上搭乗)。異なるのが年会費。日本地区ではJGCカードというクレジットカードの会費がJGC会費的なもの。最安だと10,800円です。一方で海外地区については、「5000マイル」の引き落としです。
この違いは、日本地区の会員と海外地区の会員では仕組が異なることに起因します。
そもそもJGC会員は、一定の基準以上JAL便に搭乗してJALのサファイヤステイタスを所持していると入会資格が得られます。
入会資格を得ると入会手続きとなりますが、一般の日本人ユーザー(日本地区会員)ではJALグローバルクラブへの入会=JALカードの1つである「JGCカード(クレジットカード)」への入会申し込みがJALグローバルクラブへの入会手続きとなります。
一方で海外地区に関しては、JALグローバルクラブへの入会は、クレジットカードとは関係ありません。
海外地区会員というのは海外在住者です。国によって、JALカードを発行できないケースも多くあります。
そのため、日本のようなクレジットカードへの入会ではなく、別途グローバルクラブに入会するという形がとられているのです。そして入会及び更新には5000マイルでJGC会員が継続できる仕組を作ってあるのです。なお、海外地区会員でもJALカード所有者については、カード年会費の支払いをもって、年会費5000マイルの支払いが免除されます。JALカードを持っていれば、日本地区の会員と違いはないということですね。海外地区会員の詳細はこちら
海外地区だけにある自動更新とは?
一方で、海外地区会員は、「毎年1月~12月の12カ月間にFLY ON ポイントを25,000ポイント以上またはJAL国際線にJMBマイル積算対象運賃で10回以上ご搭乗いただいた方は自動更新となります。」という基準があります。
この基準を達していれば、海外地区会員は、年会費不要で、上級ステイタス資格を維持できるのです。また、この基準に到達できない場合は、上記の年会費5000マイルが必要となります。
日本地区 | 海外地区 | |
---|---|---|
JGC取得可 | 50000FOP | 50000FOP |
継続条件 | クレカ継続 | 25000FOP |
年会費 | 10800円 | 5000マイル |
在住地 | 日本 | 海外 |
こちらが2021年分から35,000マイルもしくは14回搭乗へと引き上げられます。改悪ですね。
今回の改悪のターゲットは?我々への影響は?
改悪ターゲットは明確です。海外地区会員のうち、JALカードを所持できない層です。
そのため、今回の件ではJALカードを所有できる日本在住の人には全く影響がありません。
さらに、海外に居住している人でも日本の住所があれば、クレジットカードを作ることができますので、影響はありません。
最も影響がある人、それは海外修行僧です。JALやANAは世界でも最も優遇された上級会員制度を有しています。
実はJALの航空券は、日本国内発着の航空券を購入するよりも、海外で購入したほうが安価というケースも多々あります。
そのため海外在住のエアラインファンがJALやANAの上級会員修行をするケースが増えています。特にJALはキャセイパシフィックと同じワンワールドアライアンスということもあり、香港の修行僧なども見かけます。今回影響が大きいのはまさにそうした海外在住のJAL修行僧でしょう。
JALは上級会員を減らしたいのか?
今回の改定の目的は何でしょうか?
日本地区の継続条件であるクレジットカードの年会費を支払うことなので、飛行機に乗らずともJGC会員資格を継続し続けることが可能です。
それに比べて、海外地区のJALカード非会員は維持するためには、毎年JAL便に搭乗しなくてはいけないということで、ハードルが高いです。というのも海外地区JALカード非会員のJGC継続条件は、毎年25,000FOPに到達するか、5000マイルを支払うかです。FOPを貯めるにはJAL便に搭乗する必要があります。またJALカードを持っていないと、支払いに必要な5,000マイルを貯めることも飛行機に搭乗しないと困難です。
これらを考えるとJALは少なくとも海外地区の会員については、継続的にJAL便に搭乗する人を対象としていることがわかります。
さて、今回の改悪は、海外地区会員を対象としていますが、「JALが上級会員は毎年自社便の一定以上の搭乗者に限定して、JGC会員数を減らしたい」という意向なのかというとそれはちょっと違うと感じます。
というのも、今回は25,000FOP獲得→35000FOP獲得へと自動更新基準のハードルをあげるものです。一方で、5000マイルで継続できるという条件に変更はありません。
支払いに必要な5,000マイルは、香港-東京をJALのビジネスクラスで1往復すれば5,000マイル近くは簡単に貯めります。維持する目的で5000マイルを貯めることはそれほどハードルが高くないのに、今回は継続条件の中でハードルが最も低い5,000マイルではなく、自動更新基準だけにメスを入れました。
無料でJGCが維持できた不思議基準
そもそも、当年度に50000FOPに到達すると翌年度はサファイヤステイタスとして、JGC会員以上のサービス提供がを得られます。
一方で、海外地区では、一度JGC会員になった場合、その後は毎年25000FOPに到達すれば、JGC会員として無償でサファイヤステイタスと同等のサービス提供が受けられたのです。
FOP | 日本地区 | 海外地区 |
---|---|---|
50000 | サファイヤ | サファイヤ |
35000 | 新JGC継続 | |
30000 | クリスタル | クリスタル |
25000 | 旧JGC継続 |
今回は、日本地区ではJGC会員資格を有していくためには有償だったのに、海外地区に限って、クリスタルステイタスへの到達よりも低い25,000FOPへの到達で、サファイヤステイタス相当のJGC会員を無償で継続できたということが、日本地区会員の制度等と比べてバランスを欠くと判断に至る何かがあったと思われます。今回の改定により、クリスタル会員を超える35000FOPが必要となりました。これにより格差は縮まったものと考えられます。
日本地区会員には大きな影響はなさそうで一安心ですよね。
うーん、日本路線はFOP2倍だけど、私が住んでる北米とかだと、日本往復でたくさん時間かけて遠距離乗ってるのに、1倍しかつかない。これは常々不公平だと思ってます。そう考えると、2万5000FOPで継続でもいいとも思えるのですが。海外在住者にはやはり、納得いかないですね。今はANA上級会員で、JGC修行しようかなと思っていた矢先なので、かなり萎えました。JALカード発行も、日本にちょうどいる僅かな期間に受け取るよう、考えて(考えたとしても審査があるので読めませんが)発行しないと行けないので、かなりハードル高いんですよ。