東京から大阪へ出張するための交通手段は、新幹線と飛行機が選択肢に上がります。
ただ、大阪出張で飛行機を利用する人は20%未満。これが広島や岡山で利用率が半々になり、福岡になると、9割以上が新幹線を利用するということです。
しかし、大阪出張でも20%弱の人が飛行機を利用する。それはなぜでしょうか?
実は私も大阪出張では、飛行機を利用します。
それは飛行機ならば短い時間で集中して仕事ができること、そしてマイルやFOPが貯まりやすい事、さらに、場合によっては飛行機よりも値段が安い事などいいことづくめだから。
今日は、大阪出張に飛行機を使うべき理由をしっかりと説明したいと思います
出張者の大半が新幹線で移動!
大阪出張で15%~20%程度は、飛行機を利用するという調査結果があります。
「以外にも多いな?」という印象を持つ方も多いのでは?
「沖縄に旅行に行って来たよ!」と言う人に「交通手段は何?」と聞く人はいませんよね。
「福岡出張」だと、「飛行機だよね?」「いや新幹線で行った」などと言われることもあるかもしれません。東京-福岡間を新幹線で移動する人も7.5%程度いるようです。
一般的には「4時間の壁」があり、4時間以内の移動であれば新幹線を利用し、それ以上ならば飛行機の利用シェアが新幹線を上回るというもの。
この4時間の壁は岡山あたりと言われています。
そうは言っても、広島空港のように、繁華街から離れ、さらに電車やモノレールもなくアクセスが不便な空港は敬遠され、福岡空港のような空港アクセスが極めて良い空港は利用者が増えたりいう傾向もあるようです
そうはいっても、九州に行くにはほとんど飛行機で、名古屋や大阪は殆ど新幹線。中国地方は半々くらいというのが実感でしょうか?
福岡出張であえて新幹線を利用する理由は?
東京-福岡といえど、新幹線利用が7.5%ほどいる理由は何でしょう?
まず考えられるのが「飛行機が嫌い」な人です。いろいろな理由で飛行機に乗れないという人は案外多く、その場合は新幹線を利用しているようです。元野球選手の江川や真弓、クッキングパパの荒岩さんなどもよほどでなければ飛行機には乗らないとのことです。JAL123便墜落事故では、野球の球団関係者や芸能関係者もなくなっていますので、そのショックが大きいようです。
もう一つは、「便変更が容易で必ず乗れる」ということも新幹線のメリット。飛行機では格安運賃では基本的に便変更できません。また便変更が可能な普通運賃でも、空席がなければ変更できません。新幹線であれば便変更は容易です。もし満席でも自由席に乗ることができますので、どんな繁忙期でも(座れないことはあっても)飛行機のように「乗れない」ということはありません。
福岡まで、飛行機を使わず、新幹線を利用する人たちは大体こんなところが理由なようです。
「大阪出張のほとんどは新幹線」は本当か?
日本の大動脈である東海道新幹線は「のぞみ」だけで10分に1本(1時間当たり計6本)と過密なダイヤで新幹線を走らせています。16両編成だと1323席ですので、実に一日当たり片道12万人もの乗客を運んでいる計算になります。
対する飛行機はJAL、ANAともに、羽田-伊丹路線は1時間に1本ずつの計2本。併せると一日に片道30便です。機材によって異なりますが、全て大きな機種のB777だとすると1便当たり514席で、一日当たり1万5420人もの乗客を運ぶことが可能です。
主力路線として大きな需要が支えていることがわかります。供給座席だけを見ると飛行機の割合が11%、新幹線が89%程度と推測されます。
需給によって値段を変更するなど飛行機は、少しでも満席に近づけようとしているので、実際の利用シェア、飛行機が15%から20%程度となるようです。
しかし、6時間ほどかかる福岡でさえ新幹線を利用する人がいるのに、本数も飛行機より3倍多く、値段も安い、便変更も自由、そんな利便性を選ばず、15~20%の人たちがあえて大阪出張で飛行機を利用する理由を何でしょうか?
効率だけ考えると新幹線に明らかに軍配が!
どう考えても効率や利便性は、新幹線の方が高そうです。
首都圏なら、「東京・品川・新横浜」には全列車が停車するため、自宅や仕事先の最寄り駅を選んで乗車できます。羽田空港は空港アクセスが良いと言っても、空港までモノレールや京急でのアクセスで、多くのケースでは乗換等が必要です。
伊丹空港も関空に比べると便利とはいえ、大阪中心街まではバスやモノレールでのアクセス。中心街まで地下鉄やタクシーで5分程度の新幹線の新大阪駅と比べるとアクセス性は、新幹線利用に軍配が上がります。
さらに新幹線は10分に1本のペースで運航しており、予約変更等も容易、満席でも自由席なら乗車できます。
飛行機に乗り遅れた場合、各航空会社は毎時1本なので、ビジネス切符等の予約変更が可能なチケットだとしても搭乗できるのは1時間後の便。しかも満席だと搭乗できません。
さらに、東京-大阪間を飛行機(伊丹空港)と新幹線(新大阪駅)のアクセス時間を比べてみます。東京の各地区と、大阪の中心部梅田までのアクセス時間を乗り換え時間含めて比較します。
出発エリア | 渋谷-大阪 | 東京-大阪 | 品川-大阪 | 新宿-大阪 | 横浜-大阪 |
新幹線利用時 | 3時間00分 | 2時間43分 | 2時間41分 | 3時間09分 | 2時間43分 |
飛行機利用時 | 3時間19分 | 3時間11分 | 2時間56分 | 3時間27分 | 3時間10分 |
いずれも新幹線の方が20~30分程度早く大阪駅に到着できます。
比較的羽田空港に近い品川駅ですら、15分の差で新幹線が早く着きます。
なお、飛行機利用の場合は、30分~1時間程度早く空港に到着することを想定しての時間です。(乗換案内利用)
余裕を持っての空港着ではなく、ギリギリでいい場合は、多少短縮できますが、それでも新幹線を上回る時間で到着するには、よほど効率的に乗り継ぐことが求められますが保安検査混雑時の遅延リスクなどを考えると。難しいですよね
遅延などのリスク管理は新幹線の方が安心
現地への確実な到着や、遅れないかという点では新幹線に明らかに軍配が上がります。
ある年の飛行機(JAL)は、定時運航率が89.4%です。
新幹線は、定時運航率が95%程度とのこと。
これだけ見ると大きな差はなさそうですが、実は定時運航率の定義が異なり、飛行機は15分以内の遅れなら定時運行としており、新幹線の場合は1分以内の遅れのみが定時運行。
言い換えると、飛行機は、10回に一回は15分以上遅れる可能性がありますが、新幹線は、20回に一回しか1分以上の遅れは発生しません。
遅延の原因は、空港周辺の天気や混雑、乗客の搭乗遅れなど様々。
また、遅延とともに、飛行機の場合、降雪等による欠航リスクがあります。
新幹線では、以前は関ケ原付近の降雪により運休することが多々あったようですが、現在では大幅に少なくなっています。
飛行機でも、羽田や伊丹空港が閉鎖されるほどの大雪というのはめったにありません。
もし、それだけの雪が降るような場合は、新幹線や飛行機などにかかわらず、首都圏の交通網が壊滅している状況。
また、リスクとしては、飛行機には機材便のやりくりと、機材の故障による遅延や欠航の可能性があります。
飛行機の機材は、羽田-伊丹間を往復するだけでなく、札幌→羽田→伊丹などという運用をするケースがあります。
その場合、札幌で降雪がひどく飛行機が羽田まで飛ばない場合、羽田到着後に伊丹に行くはずだった飛行機が到着できないということで、羽田-伊丹便までが、欠航になってしまうことがあります。
もう一つ大きなリスクが、伊丹空港の門限です。伊丹空港は21時までしか着陸ができません。羽田-伊丹の最終便は20時35分に到着予定なので、門限まで25分しかありません。
もし、間に合わない場合は関西国際空港に着陸して、そこからバス等で送ってもらうことになります。
25分というと余裕があるようですが、前述したとおり、10回に一回は15分以上遅れる可能性があることを考えると、決して安心できる時間ではないんですよね。
ということで、安全性や、到着時間等を考えても、新幹線の方が安心と言ってもよいでしょう。
運賃は圧倒的に新幹線の方が安い、と思ったら・・・・!
新幹線は一部前売り切符やプラットこだまなどのツアー商品もありますが、ビジネス利用は考えにくく、ほとんどの人は、普通乗車券か往復乗車券を利用します。
新幹線の東京駅-大阪間の運賃・特急券合わせると13,620円です。
飛行機の場合は、羽田-伊丹間の普通運賃が25,750円。飛行機のほうが約2倍も高価です。ただし、事前購入が必要で時間変更ができない「ウルトラ先得」運賃では9,590円と新幹線を下回る運賃で利用可能です。
変更ができないウルトラ先得はともかく、変更可能なJALビジネスきっぷは片道16,500円と2割程度高いだけとその差はぐっと縮まります。さらに変更はできないけど前日まで購入可能な「特便割引運賃」では、12550円と新幹線を下回る運賃です。さらに、出張ならばそもそも運賃は関係ない人もいるでしょう。
新幹線でも一応「ぷらっとこだま」など割引運賃の設定もありますが、「のぞみ」よりも1時間ほど余計にかかる「こだま」や「ひかり」の設定が中心。飛行機は運賃が違っても登場する飛行機やサービスに全く変わりはありません。
ということで、優位性があると思いがちな運賃については、実は飛行機も決して劣っていないことが分かります。
トータルの安全性と民度は飛行機のほうが安心だ!
「飛行機は安全」と言われる一方で、「新幹線の安全神話が崩壊」など報道されることもあります。運航中の乗客の事故による死傷者数が0の新幹線に比べ、過去に墜落事故なども発生している飛行機を比べると、新幹線のほうが安全性が高いことに異論はないはず。とはいえ飛行機が事故にあう確率も天文学的に低いため、「安全だから新幹線に乗る」というのはとてもナンセンスな話です。
どちらかというと、私が心配するのは搭乗時の治安です。
記名式で保安検査をしている飛行機と、無記名でだれでも乗れる新幹線では、移動中の安全という点では飛行機のほうが安心できます。
東海道新幹線も最近起きた事件の後は警備員が巡回したりと警戒を強めていますが、それでも置き引き被害が多く発生しているようです。飛行機もラウンジ等で盗難事件等が発生することはあるようですが、それでも氏名等を登録する必要があるのは抑止力になります。
一見安心だと思える新幹線ですが、搭乗時のトラブル含めて考えると、全席指定席で、客室乗務員が常に近くにいる飛行機のほうが安心感は高いと感じます。
飛行機のほうが良質な過ごし方ができる!
新幹線で東京-大阪間を移動する場合はおおむね3時間です。このうち新幹線の搭乗時間は2時間30分、在来線の乗り継ぎや乗り換えが30分程度です。
飛行機の場合は、飛行機自体への搭乗時間は1時間程度。在来線の乗り継ぎや乗り換えが1時間30分程度、空港手続きや搭乗待ち時間が1時間程度です。
乗り物での移動中の過ごし方は究極的には、「時間つぶし(本やスマホ)」「PCで仕事」「寝る」の3つだけです。
おそらく、あえて飛行機に乗る人たちは。この3つを飛行機のほうが快適に行えると評価していることでしょう。
快適に仕事ができる飛行機と揺れてしまう新幹線
飛行機と新幹線の乗り心地を比べると圧倒的に違うのが、「ゆれ」です。新幹線は飛行機と比べると圧倒的に揺れが大きく、パソコン操作でもマウスを利用するのはほぼ不可能です。新幹線でのメールチェックやメールでの返信は可能ですが、タッチタイピングは難しい印象。新幹線で頑張って仕事をしている人もいますが、大変そうです。
さらに飛行機の場合は、搭乗前にラウンジが利用できます。ラウンジにはテーブルやいすはもちろん、wifiと電源利用も可能なので、仕事も圧倒的に快適です。
飛行機の場合は、搭乗の待ち時間に集中して仕事ができるのメリットです。飛行機はカードラウンジや航空会社ラウンジが一定の条件を満たせば利用可能です。
新幹線もビューラウンジが東京駅にあるのですが、ビューカードゴールドを所持するなどハードルが高いです。
私も飛行機の時には、空港までの在来線ではスマホで時間つぶしをして、空港内ラウンジで仕事を片付けて、機内では睡眠をとる。というスタイルです。
新幹線の場合は、あんまり集中して作業できないので、結局だらだら寝たり起きたりスマホ見たりと、有意義に過ごせる感じがしないです。これは個人それぞれでしょうが。
また、以前は飛行機ではインターネットが利用できないのが難点でしたが、最近は機内wifiサービスでJAL、ANAともに機内でインターネットが利用できます。動画は難しいですが、メールのやり取りならば十分に可能です。
上級会員制度とは、飛行機会社特有の制度です。
JALとANAどちらにも同様の制度があり、ある一定の回数や距離を搭乗すると、上級会員として、それ以後のフライトで、ドリンクや軽食が提供されるラウンジが利用できたり、飛行機に搭乗する際には、優先受付窓口などが利用できるのです。
階層社会がほぼないと言われる日本の中で、一度航空会社の上級会員は体験するとやめられません。
混んでる受付窓口を横目に、最優先で手続きをしてもらえる優越感。待ち時間を快適にすごせるためのラウンジ。
より丁寧に接遇してくれるCAさんなどなど。東海道新幹線の自動改札・待合室・車掌さんとは比べ物にならないくらいの快適感です。
飛行機の乗る自称一流のビジネスマンは早く効率的に移動したいと思って飛行機を選んでいるわけじゃありません。
間違いなくゆっくりのんびりできる環境を求めて、新幹線より飛行機を選んでいるだけです。