ANAの株主優待が超絶改悪です。10月29日以降は大幅に予約が取りづらくなっています。
これまで繁忙期の一部を除いて、普通運賃と同じ座席供給だった株主優待割引運賃は、10月29日以降、最下層のスーパーバリュー運賃並みしか座席供給されません。
2019年のSFC修行を株主優待で行おうとしていた方は要注意です。
それどころか、ANAの株主優待券の需給も大幅に変化しかねないこの改悪。取り急ぎ解説します。
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3月22日のプレスリリースで予告されていたけど
ANAの株主優待制度の改正についてすでに2018年3月22日にアナウンスされています。
このアナウンスは3点。
①発売日を355日前に変更(これまで2か月前)
②優待運賃がFLEX運賃の最安値の半額(これまで普通運賃の半額)
③満席が想定される便では予約が取りづらい(これまで最繁忙期のみ)
でした。
1と2については、改善だと好意的にとらえられていました。
③の予約が取りづらくなることも、これまでは最繁忙期で予約制限していたのでそれの延長で大きな影響はないととらえられていました。
しかし8月28日(火)0時に新たな制度での発売が開始されました。すると、株主優待割引運賃の扱いが超絶改悪されており、非常に利用しづらくなってしまっています。
具体的にはこちら。
2018年10月30日(火)のハイシーズンでもないただの火曜日の羽田-那覇便の普通席の販売状況です。普通運賃どころかスーパーバリュー21運賃でも残席は多数あるのに、株主優待割引運賃では空席待ち。
これまででは考えられない状況です。
参考までに現行制度はこちら
10月13日(土)の羽田-那覇便です。
改正前だと、事前割引運賃は座席数が満席だったり残り席数が少ない一方で、株主割引運賃は普通席と一緒で残席数多数です。皆さんのイメージもこんな感じでしたよね。まさかの改悪にショックです。
お得で人気だったANAの株主優待券
JALやANAの株主優待券は、売買も自由で割引率も大きいということで、人気ある優待として知られています。オークションや金券ショップでも3000円~6000円くらいで取引されているほど。
事前割引運賃は、人気のある便は割引が小さく高価、人気がない路線ほど割引率が大きく安価に販売しています。
しかし株主優待券は一律で普通運賃の半額と路線や時期によって値段差は生じません。
そのため、人気がある路線や週末などでも安く搭乗できたり、割引が少ない地方路線でも半額で乗れたりということで、わざわざ株主優待券を金券ショップやオークションで購入して株主割引運賃で搭乗する人も多くいました。
また、事前に購入が必要な割引運賃と異なり、当日空港で購入しても半額で購入できることも大きなメリットでした。特にANAの場合、搭乗当日までに株主優待券を登録すればよいので、なおさらです。(JALは購入時に手元に優待券があることが必要)
航空券は一般的に、一番安い割引運賃で購入できる座席数の割り当ては決まっていて、早々に売り切れてしまいます。
普通運賃や往復運賃など、正規料金に近いチケットは空席がある限りは購入することができます。
そのため、割引運賃がすべて売り切れてしまっても、普通席では購入できるケースが多かったです。これまでの株主割引運賃は半額近いにもかかわらず、普通席と同様の割り当てで購入することができたのです。
座席数が多い順(10月27日まで)
1 普通運賃、株主運賃、ビジネス運賃、障害者割引
2 特割1、特割3
3 旅割21
4 旅割28
5 旅割45
(予約状況によって異なることもあります)
ただし、2015年ころに、繁忙期に限定して座席制限を行うとの発表がありました。これにより時期によっては、普通運賃だと購入できるけど、株主優待では購入できないことがありました。
しかし、お盆や年末年始に限った扱いだったので、大きな影響はありませんでした。
基本的には株主優待運賃は、普通運賃並みに購入しやすいチケットだったのです。
今回の改悪までは。
具体的な改悪点
3月のアナウンスでは「満席が想定される便では予約が取りづらくなる」とのことでした。
そして新しい制度の運賃が8月28日(火)0時に販売開始されました。今後も随時販売が開始されます。次は9月3日の0時から2019年8月23日までのチケットを一斉販売します。詳細はこちら
8月28日(火)0:00〜 | 10月28日〜11月2日搭乗分 |
9月3日(月)0:00〜 | 11月3日〜8月23日搭乗分まで |
9月3日(月)9:30〜 | 2019年8月24日分以降 |
こちらは、ダイヤモンド会員などの、ステイタスは不問です。新制度の影響がどうなるのか早速今回発売された10月28日〜11月2日までの搭乗分で確認してみました。「予約が取りづらくなる」というのがどれくらいのことなのかを調査すると、5日程度の短い期間のサンプルではありますが、驚愕の状況が明らかになりました。
そこで分かったのはANAのアナウンス以上に株主優待運賃が取りづらい最悪の状況だったのです。
今回の改正によって、これまで最上位層だった株主優待運賃が最下層ランクの扱いになるケースが出ています。
具体的にはこちらをご覧ください。
これは2018年10月30日(火)の羽田-那覇便(11:25発)の空席状況です。
週末でもハイシーズンでもない沖縄域ですが、見事に株主優待割引運賃での予約ができません。フレックス運賃(旧普通運賃)でも席は残っていますし、それどころか事前割引運賃のスーパーバリュー21運賃ですら、空席があるのに、株主優待割引では空席になっています。
どうやら事前割引運賃のスーパーバリュー28などと販売座席区分が同一になっているようです。
運賃ごとの座席供給量の優先ランクは想定しうる限りこちらです。
1 ビジネス運賃、障害者割引
2 フレックス運賃(旧普通運賃)
3 バリュー1
4 バリュー3、スーパーバリュー21
5株主優待
6 スーパーバリュー28、45
7 スーパーバリュー55
これまで普通運賃同等の最上位に位置していた株主優待割引が陥落です。せっかく株主優待運賃を利用しようとしても、ちょっと混雑した路線であれば利用できないリスクが高くなってしまいます。
特に運賃が高い沖縄・北海道・福岡などは、人気路線のため早めに事前割引運賃が売り切れるケースが多いです。そうしたケースではこれまで当日でも購入できた株主割引運賃が、全く利用できなくなるケースも多数想定されます。
実際に10月29日(月)の羽田-札幌(10:00発)を見てみましょう。
フレックス運賃で大量の空席があるにもかかわらず、株主優待割引が利用できません。
それどころか、スーパーバリュー運賃にも空席があるのに・・・・
株主のことをどれだけ低く見ているのか、怒りすら覚える座席供給数です。
これは・・・相当痛い改正になりそうです。
プレミアムクラスでも大きな影響が
普通クラスでももちろんですが、プレミアムクラス利用者はさらに大きな影響があります。
プレミアムクラスは価格が高いこともあり事前購入運賃では予約の争奪戦が行われます。
実際に先日の事前購入運賃の一斉販売では、あっという間にプレミアムクラスの事前購入運賃で売り切れが多発しました。そのため割り当て座席が多い株主優待で購入しようと考えていた人も多いと思います。
しかし、残念ながらプレミアムクラスでも今回の株主優待割引の座席供給が大幅に減っています。
バリュープレミアム3で残席があるのに株主優待割引は満席です。
新たなプレミアム運賃の供給数予測はこちら
1 プレミアム運賃
2 バリュー3プレミアム
3 株主優待運賃、スーパーバリュープレミアム28
プレミアム運賃では、最下層です。事前割引で最も安いスーパーバリュープレミアム28運賃で空席がない限りは株主優待運賃でも空席が生じません。
ただし、基本的にスーパーバリュープレミアム28は人気のためあっという間に売り切れてしまいます。そのため、人気路線では、プレミアム株主優待割引運賃で購入するチャンスが極めてむつかしそうな状況です。
株主優待割引で搭乗できる機会は、スーパーバリュープレミアムの発売よりも前に購入した場合や、スーパーバリュープレミアム運賃でキャンセルが出た場合などに限定されそうです。
2019年SFC修行への影響は?
今回の株主優待割引の改悪はSFC修行僧へも大きな影響があります。
2018年までのSFC修行スタイルは、事前に予定が立てやすい人はプレミアム旅割28(現スーパーバリュープレミアム28)を事前に予約。
会社勤めや子供がいて直前まで予定が立てづらい人は、普通運賃に空席があれば直前でも購入できる株主優待割引運賃を利用するという人が多かったです。
しかし、今回の改悪で、(今のところ)スーパーバリュープレミアム運賃と座席供給枠が一緒になったため、普通運賃で空席があっても、株主優待割引では購入できないケースが生じます。
実際に8月28日に発売が開始された10月28日から11月2日までの期間を見ると、プレミアムクラスについてスーパーバリューP運賃が満席のため、プレミアム運賃では購入できるものの、株主優待運賃は満席で予約できません。
さらに8月26日(日)に一斉発売された2019年1~3月までの期間のスーパーバリュープレミアム運賃は、あっという間にすべて完売しています。
今後9月3日(月)に、11月2日から31年8月24日までの株主優待割引の航空券が一斉販売されます。
しかし1~3月分はスーパーバリュープレミアム運賃が完売のためこの期間は株主優待運賃での販売が為されない可能性もあります。
株主優待運賃での販売を期待していた人は残念な結果になる可能性がありそうです。
その場合は、4月以降の株主優待割引ならまだスーパーバリュープレミアム運賃が販売されていませんので購入できるはず、そちらの購入も検討してはいかがでしょうか?
355日前購入は改善か?
今回の改善点ですが、これまでは2か月前にならないと予約できなかったのが、355日前まで購入できる期間が広がったことです。
ただし、実際に2か月以上前のチケットを購入するならば、事前割引運賃を購入したほうがお得に購入できるケースも多いはず。
これまで株主優待を利用してきた人は、直前で安く購入できるメリットを利用してきた人も多いはず。正直言ってこのメリットは限定的だと思います。
まとめ。ANA株主割引は改正は、株主をないがしろにした大改悪
ANAは収益改善のため、搭乗率の高い路線はより高価なチケットを販売し、搭乗率が低い路線は割引率を高めて、搭乗率を高めながら高収益を実現しようと様々な努力をしているようです。
実際、今年の4月までは満席が続いていた長距離路線のプレミアムクラスでは大幅に値上げを実施し、若干搭乗率は下がったとしても収益としては向上していると思われます。
また、8月26日(日)に販売された10月から3月までの事前割引運賃は、安価な運賃の座席供給数を相当減らして、高額なチケットを購入させる作戦にシフトさせているようです。
今回の株主優待割引の改悪も、おそらくは、収益が期待できる路線では、儲けが薄い株主優待割引の利用を制限させる作戦かと思います。
しかし同時に株主優待の価値を大幅に下げてしまうことにつながりそうです。
座席制限は致し方ないにしても、株主向けの優待を、事前割引運賃よりも座席供給を少なくして、まだまだ空席が残っているのに購入できないというのは従来の制度との落差が激しく、やりすぎ感も感じます。
ANAとしては収益を改善して配当で株主を納得させる作戦なのでしょうか?
私も本当にそう思います。昔からの株主を
冒涜しています。