世界3大アライアンスと言えば、JALが加盟するワンワールド、ANAが加盟するスターアライアンス、そしてスカイチームの3連合です。
その中で、日本でもなじみの深いワンワールドグループ。加盟会社にはJAL(日本航空)のほか、イギリスの「ブリティッシュエアウェイズ」や香港の「キャセイパシフィック航空」など各国を代表するフラグシップキャリアや、カタール航空など成長が著しい航空会社が加盟しています。
しかし、イギリスのEU離脱、キャセイパシフィック航空の経営悪化、マレーシア航空墜落・撃墜事故、カタールショックによる大幅な減便などにより、今後の成長には赤信号が。
今日は、ワンワールドアライアンスの加盟会社とその特徴、そして将来性について考えてみたいと思います。
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ワンワールドの加盟会社は
航空会社は自社だけでは世界に路線を広げられないこともあり、航空連合(アライアンス)を作り、加盟会社の顧客には上級会員待遇を与えたり、相互にマイル付与したりと連携を深めています。世界3大アライアンスのうち、JALが加盟するのがワンワールド・アライアンスです。
ワンワールドへの加盟会社は次の通りです。
地域 | ワンワールド |
---|---|
日本 | JAL |
アメリカ | アメリカン航空 |
LATAMブラジル | |
LATAMチリ | |
中国 | キャセイパシフィック(香港) |
アジア | マレーシア航空 |
スリランカ航空 | |
オセアニア | カンタス航空(オーストラリア) |
ヨーロッパ | ブリティッシュエアウェイズ |
フィンランド | |
イベリア航空(スペイン) | |
S7航空(シベリア) | |
中東 | ロイヤル・ヨルダン航空 |
カタール航空 |
特徴としては、ブリティッシュエアウェイズや、キャセイパシフィック航空など各会社のフラグシップキャリアが多いということ。公式はこちら
ただし、逆にコストが高いからか、格安航空券として販売されることがあまりありません。
スターアライアンスならエバー航空や中国国際航空など、スカイチームなら大韓航空やデルタ航空など、航空券が安く買える航空会社があるのですが、ワンワールドはチケットはやや高止まりです。
安心・安全だけど、少し割高で保守的な会社が多い、そんなイメージです。まぁ、まさに元国営航空会社が多いということですよね。
加盟会社の特徴と日本路線
それでは、各加盟会社と解説している日本路線について確認しましょう。
ブリティッシュエアウェイズ
イギリスのフラグシップキャリアであるブリティッシュエアウェイズは、ワンワールド立ち上げ当初からの中心的な加盟メンバーです。
日本との路線は、「羽田-ロンドン」「成田-ロンドン」の計2便/1日です。
成田-ロンドンは、BAの1日1便のみ、羽田-ロンドン間はBA1便のほか、JALが2便、ANAが1便の計4便、
実にロンドンは、5便のうち、4便をワンワールドが占めることになります。
ヨーロッパ路線で言うとスターアライアンスには、ルフトハンザ航空が加盟しています。距離的にはヨーロッパのハブ空港としてはフランクフルトの方が便利なんですよね。
ただ、日本のワンワールドの中で「ブリティッシュエアウェイズ」は重要な役割を占めています。
ただし、それは路線ではなく、「Executive Club」と言われるマイレージシステム。
BAのExecutive Clubでは、マイルをAVIOSと呼んでいますが、非常に使い勝手が良好だとの評判を得ています。
その理由は2点
・JALやキャセイパシフィックなども日本語WEBから特典予約が可能
・JALの国内線が、JALよりも少ないマイルで予約可能
・直前でも予約が可能
ということです。
BAのマイレージシステムでは、BAのマイルを利用すると、実際にロンドンやBAとは全く無関係な、JAL「羽田-熊本」やキャセイドラゴン「羽田-香港」などの便をWEBから簡単に予約できます。
また、特典航空券を予約する時などは、650マイル以内であれば、たったの9000マイルで往復することが可能です。
これは、JALの羽田-福岡をJALの特典航空券として予約すると12,000マイルが必要なので、BAの優位性がわかります。
BAのAVIOSには、アメリカンエキスプレスからマイルへの移行が可能となっています。
ブリティッシュエアウェイズの将来性は?
ブレティッシュエアウェイズ自体は順調であると言えるが、イギリスのEU離脱の影響がどの程度あるのはは見極めが必要だとの見方が多いです。
一応影響はないということだが、実際にどうなるのかは未知数。なんとなく決してプラスの影響は、働かないような気がしますよね。。。。
キャセイパシフィック航空
香港のフラグシップキャリアであるキャセイパシフィック航空。
ドイツの協会が発表する最新の安全ランキングでは、第一位にランクイン
JALが10位で、ANAが11位です。
世界的にみると、日本の航空会社よりもはるかに高い評価を受けているんですね。なお、キャセイパシフィック航空の参加には、格安航空会社のキャセイドラゴンもいます。
キャセイドラゴンは格安航空会社と言いつつも、機内食もでます。さらにワンワールドの上級会員であれば、キャセイドラゴン利用時にもラウンジが利用できるなど、完全にフルサービスキャリアです。日本路線も羽田や福岡などで充実しています。
日本発着路線を、傘下のキャセイドラゴン航空と併せると
日本発着地 | 渡航先 | キャセイパシフィック | キャセイドラゴン |
---|---|---|---|
羽田 | 香港 | 2 | 1 |
成田 | 香港 | 4 | |
羽田 | 台北 | 2 | |
関空 | 香港 | 5 | |
関空 | 台北 | 1 | |
中部 | 香港 | 2 | |
中部 | 台北 | 1 | |
札幌 | 香港 | 1 | |
福岡 | 香港 | 4 | |
那覇 | 香港 | 1 |
とフライトは大変充実しています。さらに香港からアジア各地への路線も多数開設されているため、乗り継ぎ利用の利便性もとても高いです。
私もベトナム旅行の際に、キャセイパシフィック航空とキャセイドラゴンを乗り継ぎましたが、どちらもとても快適でした。
ただ、羽田発着のキャセイドラゴンは、リクライニングがほとんどせずに、機内エンターテイメントもモニターが設置されていませんでした。香港便は飛行時間も短いですし、時差もほとんどなく眠る必要もありません。スマホやタブレットでアプリを利用すれば、映画等も楽しめたので、特段問題はありませんでした。
日本での利便性は?
日本における利便性として真っ先に浮かぶのが羽田空港や成田空港、関西国際空港で、「ワンワールドグループを利用する際に、キャセイパシフィック航空のラウンジが利用できること」ですね!
もちろん、JALのラウンジが利用できるので、そこを利用すればよいのですが、キャセイパシフィック航空のラウンジは本場の担担麺やオリジナルカクテルが利用できるため、あえてキャセイパシフィックのラウンジを利用する人も多数です。
JALの上級会員であれば、JAL便を利用する際にも利用できますよ。
スタアラ所属の中国国際航空に買収される?
キャセイパシフィック航空は、中国本土の中国国際航空と資本提携をしています。中国国際航空は「エアチャイナ」と言い、北京をハブ空港とする中国最大の航空会社です。
現在は資本提携のみですが、中国国際航空によるエアチャイナ買収のうわさは絶えることがありません。
ワンワールドのキャセイパシフィック航空が、スターアライアンスの中国国際航空に買収されたらどうなるのでしょうか?
同様の事例は2000年にワンワールド創設メンバーだったカナディアン航空が例に挙げられます。
ワンワールド加盟だったカナディアン航空は、同じカナダ国内のスターアライアンス加盟会社であるエア・カナダに1999年末に吸収合併が発表されました。その後2000年3月にワンワールドからの離脱を発表。2000年6月には実際に離脱となりました。合併の発表からわずか半年のことです。
ただし、カナディアン航空とエア・カナダは、同じカナダを拠点とする完全なライバル会社で、路線も重複が多数。香港発着で世界各地に飛ばしているキャセイパシフィックとは事情が異なります。また香港の市民感情も影響するため、強引に買収する可能性は低いと思われます。
キャセイパシフィック航空の将来性
残念ながらキャセイパシフィック航空の将来性には黄色信号がともっています。飛行機の航続距離が短かった時代、太平洋側に位置している香港は、中国本土からの乗継地や、アジアの中継地として重要な役割を占めていました。
しかし、航続距離が延びた飛行機や各国での航空協定等の進捗により、乗継便が大幅に減少し、中国本土やアジア各地からの直行便が主流となってきました。そのため、旅客数の伸び率もかなり低調な状態がここ最近続いています。
そのため、キャセイパシフィック航空のリストラや身売りのうわさも絶えないのです。
ただし、現在のところ、目立った縮小の動きは見られません。羽田線や福岡線など一時的に撤退しても需要が増えれば増便したりとかなりフレキシブルに運用。日本路線も多数ありますので、すぐに何か起こるということはなさそうですね。
マレーシア航空
マレーシア航空はマレーシアのフラグシップキャリアです。
成田・関空と首都クアラルンプールを、成田からボルネオ島のコタキナバルを結んでいます。
成田ークアラルンプール 1.5便
成田ーコタキナバル 0.5便
関空ークアラルンプール 1便
クアラルンプールへは関空からは毎日、成田からは毎日1便+隔日便です。また、ボルネオのリゾート地「コタキナバル」へも成田から隔日の便があります。
日本におけるマレーシア航空の位置づけ
マレーシア航空の特徴として、格安のビジネスクラスチケットが販売されるということ。マレーシア航空での搭乗は同じワンワールドのJALの搭乗実績として積算が可能です。そのため、JALの上級会員修行を行うために、利用されるケースが多々あります。
単価自体がものすごく安いわけではないのですが、ビジネスクラスでのフライトを楽しみながら修業ができることは、大きなメリットですよね。
マレーシア航空の将来性
言うまでもなくマレーシア航空を世に知らしめたのは「マレーシア航空370便行方不明事故」と「マレーシア航空撃墜事故」です。どちらも真相が明らかになっていないものの、世界中に与えた衝撃はとても大きいものがあります。もし「JALに乗って事故にあった」場合は、「不幸だったね」と同情されると思いますが、「マレーシア航空に乗って事故にあった」場合は、「なんでマレーシア航空なんか乗っちゃったんだよ」と言われかねないくらい、評判は落ちていますので、今後の将来性はまだまだ明るいものとはいえなさそうです。
カタール航空
カタール航空は、ドーハを拠点とするカタールのフラグシップキャリアです。スカイトラック社が選ぶ5つ星航空会社に認定されており、評判も良好です。
中東の航空会社は評判が良いところが多いのですが、エティハド航空など、多くはアライアンスに属していないため、ワンワールドのようなアライアンスに属するケースは珍しいです。
日本への就航路線
成田-ドーハ
羽田-ドーハ
の計2便を毎日運航。
カタール航空の将来性は
ここ数年は、順調に路線や機材、売り上げを増やしていたのですが、2017年のカタール外交危機により、サイズアラビア、バーレーン、エジプト、UAEなどの路線が休止に追い込まれ上空の通過も禁止されました。
売り上げにも大きな影響がでそうとのことで、せっかくの拡大基調に冷や水が浴びせられた状況になっています。
カンタス航空
オーストラリアのフラグシップキャリア。
羽田-シドニー 1便/毎日
成田-ブリスベン 1便/毎日
成田-メルボルン 1便/毎日
関西-シドニー 1便/毎日
です。
日本におけるカンタス航空の位置づけ
日本とは時差もなく、南半球のため真逆の季節ということもあり、観光需要も根強いオーストラリア。スターアライアンスにはニュージーランド航空は所属していますが、オーストラリアの航空会社は就航していないため、ワンワールドの優位性の一つとなっています。
アメリカン航空
アメリカン航空は、アメリカのフラグシップキャリア。ですが、以遠権を持たないこともあり、ユナイテッド航空やデルタ航空に比べると路線は少なめです。
アメリカン | デルタ航空 | ユナイテッド | |
---|---|---|---|
ホノルル | ○ | ○ | |
ヒューストン | ○ | ||
ロサンゼルス | ○ | ○ | ○ |
デンバー | ○ | ||
サンフランシスコ | ○ | ||
ワシントンDC | ○ | ||
シカゴ | ○ | ○ | |
シアトル | ○ | ||
ダラス | ○ | ||
グアム | ○ | ||
アトランタ | ○ | ||
デトロイト | ○ |
過去の経緯などからデルタ航空などが、成田-上海間で、以遠権を利用した路線を解説している中で、アメリカン航空は、アメリカ本土と日本を結ぶ路線だけなので、存在感は若干低め。
また、ハワイ路線もアメリカン航空としては路線がありません。
そのため、スターアライアンスでは、ハワイまでユナイテッド航空を利用する手段もありますが、ワンワールドではJALだけとなるため、特典航空券が取りにくく、チケットの値段も高止まりなんですよね。
その他の航空会社
就航路線あり
S7航空 成田-ウラジオストク、関空-ウラジオストク
スリランカ航空 成田-コロンボ
イベリア航空 成田-マドリード
フィンランド航空 成田-ヘルシンキ
就航路線なし
LATAM チリ 路線なし
ロイヤル・ヨルダン航空 路線なし
LATAM ブラジル 路線なし
ワンワールドの将来性
ワンワールドに加盟する多くの会社がフラグシップキャリアです。
一方で、発足当初から加盟している会社は、様々な事情で経営難だったり、リストラだったりと厳しい状況にあるような気がします。
一時は経営危機により、足を引っ張りかねなかったJALが、今はとても順調であるように、今後も各社には頑張ってほしいですよね。
なにより同アライアンスだと、エコノミー利用でも、ビジネスクラスラウンジが利用できるのは大きなメリット。もちろん格安チケットのエコノミークラス利用でもラウンジが利用できるようになるのだ。
スターアライアンスで言えば、ANAの上級会員だとユナイテッド航空やエバー航空などの格安航空券を購入しても、ANAのラウンジが利用できる。一方で、ワンワールドへの加盟会社は、フラグシップキャリアということもあり、残念ながら格安航空券をほとんど見ない。
ただし、キャセイパシフィック航空など、ラウンジが充実している加盟会社はあるので、そういったところを利用するという楽しみはあるだろう。
まあ、なんだかんだ言ってもワンワールドがすぐに潰れるということはないし、利用価値はとても高い。
実はJALも一時期経営難のときにワンワールドからの撤退を検討したことがある。しかし、アライアンスからの脱退というのは想像以上にお金がかかり断念したとのこと。
キャセイの買収騒動の行く末は気になるものの、フラグシップキャリアがこれだけ集結しているワンワールドが直ぐどうなるってことはないだろうから、JALの上級会員特典を全世界で楽しんでいきたいと思います。